BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『知っておくと必ずビジネスに役立つ中国人の面子』

2011/07/28 15:27

週刊BCN 2011年07月25日vol.1392掲載

 中国とのビジネスが日常的になって久しい情報サービス業界だが、近いようで遠い中国文化に戸惑うビジネスマンも決して少なくない。ましてや近年では、中国にソフト開発を発注するよりも、中国地場のIT需要を獲得するために出向いていくケースが多くなっている。こちらが頭を下げることが多くなればなるほど、異文化の壁はより大きく立ちふさがるというものだ。

 そこで役立つのが『知っておくと必ずビジネスに役立つ中国人の面子』。著者の吉村章氏は、台湾のIT系業界団体「台北市電脳商業同業公会(TCA)」の駐日代表を1996年から務めるかたわら、自らNPO法人のアジアITビジネス研究会を立ち上げ、日中のITビジネスや文化の交流促進を目的としたセミナーや研修会を意欲的に開催。中国大陸や台湾のITビジネスに関わる人で吉村氏を知らないのはモグリといわれるほどの有名人だ。

 セミナーを通じて中国文化の壁にぶつかる人を見てきた吉村氏は、「中国人とうまくつき合い、ビジネスを成功させてほしい」との思いで本書を上梓した。キーワードは中国人の「面子(メンツ)」。島国育ちの日本人が考える体面的なメンツとはニュアンスが異なり、厳しい大陸の歴史や風土のなかで培われた「自分の身は自分で守る」のに必要なものだと吉村氏は分析する。「相手が敵か味方かを見極め、両者の関係を定義するための手段」ともみる。本書はメンツの正しい理解を通じて、中国人への理解をより深めるための手引き書である。(寶)


『知っておくと必ずビジネスに役立つ中国人の面子』
吉村 章著 総合法令出版刊(1300円+税)
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