▼慢性的な人員不足で昼夜を問わず激務を強いられるITエンジニア。就労が困難になる人が多いだけでなく、復帰体制を整えるITベンダーは少数で、帰る場所がない。うつ病患者の増加は、IT業界でも問題になっている。他の業種に比べて精神疾病率が高いのも気になる。

▼10月上旬、川崎市で就労支援のNPO法人「FDA（Future Dream Achievement）」が主催して、「第2回NIPPON IT チャリティ駅伝」が開かれた。第1回の参加チーム数は108。今回は410チームに膨れあがった。参加者の大多数はITベンダーの関係者だ。

▼FDAの渡邉幸義理事長によれば、「支援の対象とした3人が就労した」そうだ。その一人で12年間も自宅にひきこもっていた40歳の男性が、インターネットプロバイダのエキサイトに就労したことを報告。開会式で、エキサイトの野田俊介社長が登壇して、喝采を浴びた。

▼国内ITベンダーはクラウドの普及に向けて構造改革を推進中。時代の潮流に乗れない不安もある。未就労者を出さずに発展していける道を業界を挙げて考えたい。（吾）