某IT流通卸会社が、今年度(2012年3月期)決算で過去最高の売上高に達する可能性があるという情報を得ました。クラウドの進展や東日本大震災、タイの洪水など、IT製品の販売には“負の要因”が多かったなかでの好業績。その理由は判然としません。IT流通卸会社には、それぞれに地域単位の地盤や製品・サービスでの得意領域があります。記者が販社から得た情報を総合すると、冒頭の会社は、競合他社の得意分野を浸食したと考えられます。
シネックスインフォテックにも、“負の要因”の影響は少なからずあったと思われます。だからこそ、今年就任したばかりの松本芳武社長&CEOは、手薄な企業領域の再度の掘り起こしを始めたのでしょう。米シネックスの創業者で前社長のロバート・ファン会長は、矢継ぎ早に流通のサプライチェーンのバックヤードを改革し、流通コストの大幅な低減を図りました。ファン会長からバトンを受けた松本社長は、フロントの顧客接点や営業体制の改革を断行しています。
国内IT市場のパイは限られていますし、今後も同じパイを食い合う消耗戦が続くでしょう。製品・サービスの物量を増やすことで利益を得ることができる流通卸業界のしのぎ会いは、当分の間続くに違いありません。(谷畑良胤)
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シネックスインフォテック新社長、手薄な「企業向け事業」の改革に乗り出す メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.12.19」より