【済南発】北京南駅から19時30分発の高速鉄道に乗って済南西駅に向かう。90分の旅。今回は一等車の切符を手に入れた。どんな車輛なのか楽しみだ。一等車は進行方向先頭の車両だった。後方の階段からプラットホームに降りたので、ずいぶん長い距離を歩いた。車内はガラガラだ。シートが赤い。中国的な色だ、と思いながら、居合わせた車掌に切符を見せると「好きな所に座ったら」と軽い感じ。
▼うとうとしていると、済南西駅についた。立派な駅だ。さて、初めて降り立つ街での活動が始まる。まずはNECソフト済南を訪ねた。「済南の街の特徴を教えてください」「この地域は孔子と孟子の生まれたところで、私たちはとても親孝行をします」「今も孔子・孟子の教えは残っているのですか」「もちろんです。今も色濃く残っています」「人柄はいかがですか」「やさしいですよ。それに自己主張がへたです」「えっ、この中国でですか」と聞き返してしまった。まあ、人によるのだろう。
▼お国自慢には切りがない。「街の200か所で泉が湧いています」「泉ですか」「そうです。同じかたちの泉はありません」。どうもピンとこない。泉といえば水が湧いているだけだろうに、と思って、感動が湧いてこない。実際に見に行くことになった。有料の公園だ。中にある池はブロックで区割りされている。それぞれのかたちが違う。「これは秦の始皇帝が眺めて感動した泉です」という。歴史は気が遠くなるほど古い。
▼泉は街中の水路でつながっている。屋形船で遊覧できる。街を歩く人はおっとりしている。樹木もあって、なかなか落ち着いている。ベニスは水の都だ。「済南は泉の都ですね」。ゆっくり滞在してみたい。ここは日本人に合いそうな街だ。済南は北京の12年ほど後を歩いている街だ。伸びしろもある。(BCN社長・奥田喜久男)

秦の始皇帝も感動したといわれる趵突泉公園の泉