旅の蜃気楼

煩悩の数ほど中国の都市を巡る

2012/03/22 19:47

週刊BCN 2012年03月19日vol.1424掲載

【北京南駅発】中国の都市は1級から5級までのクラスに区分されている。政府の考えだ。例えば、1級都市は「直轄市、特別行政区、もしくはGDPが1600億元以上、かつ人口200万人以上」が条件となっている。ちなみに1級都市は18あり、5級都市までの総数は108になる。日本人にとっては、この108という数字は覚えやすい。除夜の鐘の煩悩の数だからだ。ならば、その煩悩の数々を見極めてみたいと、108の街の巡礼を思い立った。

▼まずは孔子や孟子を生んだ山東省だ。山東省の省都は済南市である。初めて訪ねる街は、緊張を伴ったワクワク感がある。中国の人はこの街を「ジーナン」と呼ぶ。孔孟思想が根づいている街で、お国自慢になると、必ず孔子と孟子の話になる。

▼黄河は済南の北側を流れている。最近になって、黄河文明発祥の遺跡が発見されている。大昔、この地は斉と魯の国に分かれて戦った。魯の荘公が仕掛けた戦いは、斉の勝利に終わった。紀元前685年のことだ。お国自慢には切りがないが、三国志に登場する名高い軍師・諸葛孔明も山東省の出身だ。歴史に厚みがあって、ため息が出る。山東省の現在の人口は9579万人。済南市は682万人で、省内で7番目の大きさだ。

▼済南市には、東京からの直行便はないので、北京空港経由で向かった。北京南駅から高速鉄道に乗って、90分で到着する。目的地への起点となる北京南駅は広々としていて、構内に吊り下がっている大きな広告が目を引く。GALAXYの広告だ。それが、かっこいいのだ。今は街なかにはiPhoneを手にする人が目立っているが、サムスン製品が増える気配もある。日本製も頑張ってほしいなと思いながら、済南市に向かう列車に乗った。さあ、孔子の郷を目指して出発だ。(BCN社長・奥田喜久男)

広くて近代的な北京南駅の構内。サムスンの広告が目を引く
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