SEのビジネス言語は「プログラムコード」であるべき――。 5月29日、情報サービス産業協会(JISA)が開いた総会後の情報交換会で、浜口友一会長が情報サービス業界関係者に向けて発したメッセージです。
行き過ぎたウォーターフォール型システム開発の弊害について、「本来、SEの仕事はキングファイル50冊分にものぼる仕様書を書くことではなく、先進的な情報サービスを開発することにある」と、アンチテーゼを示しながら述べました。
この言葉の背景には、地銀や証券業界ですでにデファクトスタンダードになりつつある共同利用型のシステムの他業種への拡大や、GoogleやFacebookなど、アジャイル型開発を生かしてすぐれたソフトサービスを迅速に開発するベンダーに技術力で負けてしまいかねないという警鐘の意味合いもあります。
さらに、顧客が求める仕様ありきの受託型ソフトビジネスでは、SEはどうしても「仕様書」重視になってしまい、山のような紙のファイルが積み上がってしまう。一方で、原則としてベンダー側がシステム開発の主導権を握る共同利用型やクラウド型サービスのシステムであれば、浜口会長が指摘する通り、SEは本来の強みである「プログラムコード」という“言語”によってコミュニケーションを取り、SI技術を高めることに力を向けられる、というわけです。
御用聞きの時代は終わり、技術者としてのSEが本来の力を発揮して、国際競争力をもつようになるという本当の意味での情報サービスベンダーへの進化を、日本の情報サービス業界に呼びかけたものといえそうです。(安藤章司)
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情報サービス産業協会(JISA)メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.5.31」より
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