提言の特徴は、SIerなど、顧客に最も近い立場で情報システムを開発する情報サービス事業者の視点に立っていること。開発現場での実践経験に基づいて現実的な対応策を示し、クラウドコンピューティングのメリットだけに焦点をあてた従来の多くのレポートとは一線を画している。
漸進(ぜんしん)的サービス提供モデル
例えば、クラウド技術を活用したSIerの海外ビジネスについては、「漸進的サービス提供モデル」を提言する。急成長する新興国のビジネススピードに合わせて、必要な機能の情報システムを短期間で段階的にリリースし、クラウドサービスで提供することを想定。メリットだけでなく、課題も整理しており、従来の客先設置型のシステムでは十分にカバーしきれなかった顧客ニーズを、クラウド技術を使うことで補う内容になっている。
提言は、JISA技術委員会ソフトウェアエンジニアリング部会先端技術調査ワーキンググループ(藤岡秀樹座長=日立ソリューションズのサービス事業統括本部クラウドコンピテンシーセンタ)がまとめたもの。(安藤章司)