NTTデータの岩本敏男社長は、長野県の諏訪出身。幼い頃、社会見学で当時諏訪にあったカメラメーカー、ヤシカの工場を訪れました。当時最新鋭だった生産ラインに沿って、多くの人が流れ作業に従事していました。ベルトコンベアの上で、次々と人の手で部品を組み込んでいく姿に、岩本社長は「すごい!」と感動を覚えたそうです。
こうした労働集約的な生産ラインは、さすがに今では時代遅れ。しかし岩本社長は、実は現代の情報サービス業は、まさに40年以上前の「旧態依然とした生産方式の上に成り立っている」とみています。だからこそ、今年6月のトップ就任と同時に、ソフトウェア生産の自動化を重点分野の一つに掲げ、技術革新に力を注いできました。すでに一部プログラムのテスト工程で自動化を実践し、およそ40%の工数削減を達成。今後は開発工程でも段階的に適用する方針を示しています。
技術革新には「負」の側面もあります。ベルトコンベアの横で流れ作業に従事する仕事が激減したように、手作業のソフト開発の仕事は、コストや生産性との折り合いからより一段と減る可能性が高いのです。
それでも岩本社長は、生産技術の革新を進めなければ、ITで立ち後れ、「日本の産業そのものの競争力が損なわれかねない」と強い危機感をもって臨んでいく方針を示しています。(安藤章司)
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アクセンチュア、モビリティサービスを国内で本格展開、テスト環境を自動化するTaaSなどを提供メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.8.9」より