北斗七星

北斗七星 2012年12月10日付 vol.1460

2012/12/13 15:38

週刊BCN 2012年12月10日vol.1460掲載

▼地方都市に所在するIT産業が抱える課題を探ろうと、10月から各地の現地取材を進めている。北海道と宮城県、新潟県の取材を終え、年末から来年3月までに愛知県と大阪府、広島県、福岡県に足を運ぶ予定だ。

▼三つの地域の取材を終えて印象に残ったのは、「地方のITベンダーは、首都圏の大手SIerから受注する下請けソフト開発事業に、想像以上に依存しているという実態」だった。独自のITソリューションを開発して、販売に乗り出しているITベンダーは、ほんのわずかしかみられない。

▼といっても、地方のITベンダーは独自の自社製品・サービス事業の開発に意欲をもっていないわけではない。それを阻む外部要因があることを、新潟県のある中小ITベンダーの社長が教えてくれた。

▼「私だって利益率の高い自社製品・サービスを開発して売りたいよ。でも、銀行がそれを許してくれない。銀行は、下請け開発のほうが安定しているとみて融資するが、自社製品・サービスを開発・販売する事業はリスクとみなして、挑戦したいといっても貸し渋る。新しいビジネスを始めるための資金が得られないんだ」。銀行の安定志向が、地方ITベンダーの下請け脱却を阻んでいる実状がある。(鈎)
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