IT業界は、しばしば労働環境の問題が指摘される業界です。「きつい」「汚い」「危険」の元祖「3K職場」をもじって、業界独自の「3K」さえいわれています。すなわち、仕事が精神的・肉体的に「きつい」、遅くまで家に「帰れない」、仕事量のわりに「給料が安い」の「3K」。最近では、これに「規則が厳しい」「休暇が取れない」「化粧が乗らない」「結婚できない」の四つを加え、「7K」と表現されることもあり、就職前の学生を中心に業界のイメージダウンにつながっています。

　しかし、IT企業の労働環境がおしなべて悪いはずがありません。なかにはすぐれたワーク・ライフ・バランスを実現している企業もあります。例えば、名刺管理クラウドサービスを提供するSansan。徳島県の過疎地にサテライトオフィスを置いて新しい働き方を実践し、社員たちはみな、いきいきと働いています。

　現在、IT業界では、スマートフォンアプリなどのウェブ開発の分野で人材不足が深刻な問題になっています。これを解決するためには、充実したワーク・ライフ・バランスを実現しているIT企業を業界外に積極的に発信して、業界のイメージ向上に努めることが必要です。（真鍋武）

【関連記事はこちら】
＜地方ITビジネスの羅針盤　各地の動きに成長の萌芽をみる＞徳島県の動きに成長の萌芽をみる（2）