BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『安売りしない「町の電器屋」さんが繁盛している秘密』

2014/03/20 15:27

週刊BCN 2014年03月17日vol.1522掲載

アナログ商法で生き残る道

 東京都町田市の郊外で48年前から電器店を営んできた「でんかのヤマグチ」が存亡の危機に見舞われたのは、今から17年前のことだった。近郊に6店舗もの大型家電量販店が進出し、家電販売の激戦区になってしまった。悩んだ末に、社長の山口勉氏はこう思い至った。「同じ土俵で勝負してもかなうわけがないから、うちは『高売り』でいこう」。

 そうはいっても、ただ高く売るのではお客がこない。「郊外の小さな電器店には、若者は寄りつかない。ということは、どうしてもシニア層が相手になる」と考えて、顧客をセグメントすることから始めた。ヒントは「向こう三軒両隣」にあった。ご近所づき合いを重んじるシルバー層の困りごとの解決を手助けする電器屋さんになろうとしたわけだ。そのためには、かゆいところに手が届くサービスをしなければならない。それを実現するために、ヤマグチは要素の絞り込みを行った。

 (1)顧客を3分の1に減らす、(2)商圏を絞る、(3)取扱いメーカー(仕入先)を1社に限定する──絞り込みによってきめ細かなサービスを実現し、“隣近所”の信頼を勝ち取った。信頼した顧客は、浮気しない。ここに「高売り」で商売できる秘訣があったのだ。

 本書には、町の電器屋をはじめ、フィットネスクラブ、商店街などの例が紹介されているが、シルバー層をうまくファンにしていることが共通点だ。1500兆円といわれる個人金融資産の大半を握っている年齢層の人々の財布の紐を緩めさせるヒントがここにある。(仁多)


『安売りしない「町の電器屋」さんが繁盛している秘密』
跡田直澄 著
青春出版社 刊(810円+税)
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