エプソンが月額1万円のプリントサービス「エプソンのスマートチャージ」を発表しました。“サービス”ではありますが、ユーザー企業の社内に機器を設置。月額料金のなかに紙やインク、保守サービスが含まれ、自由に印刷することができます。初期費用がかからず、ランニングコストが安く定額なので、印刷物が大量に発生する企業にとっては、メリットのあるサービスです。
ただし一点だけ、気になることがあります。それは商流。エプソン製プリンタの販社すべてが、プリンタ販売とは別の、もう一つの持ち玉として販売するものだと思っていたのですが、エプソンによれば、「専用の販社を設置した」というのです。
専用販社は現段階で120社程度。なかにはこれまでのエプソン製プリンタの販社もいるのでしょうが、それでもエプソンは、「プリンタ販社」と「スマートチャージ販社」を明確に分けたということです。
しかも、パートナー企業によって異なりますが、「スマートチャージ」の最大のメリットはマージンだそうです。販社にとっては、プリンタを売るよりもマージンを確保できる「スマートチャージ」を提供するほうが、はるかにいいということです。
エプソンは専用販社を250社まで増やす目標を掲げているので、販社を絞ったというわけではなさそうですが、専用の販社から漏れたSIerやディストリビュータにとってみれば、エプソン製プリンタを販売する際に、「スマートチャージ」がライバルになりかねません。
コスト削減やスマートデバイスの台頭によるペーパーレス化、ハードウェア導入の縮小などの厳しい環境下で、“サービス”を提供しなければならない状況にあるのはよくわかります。しかし、“サービス”というかたちで、しかも新たに販社を選定したことによって、これから先、既存の販社がエプソン製プリンタを積極的に拡販してくれるのかどうか。気になるところです。(佐相彰彦)
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エプソン、月額1万円から利用できるプリントサービス、初年度に2万件の獲得を狙うメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.5.19」より