先日、台湾のあるITメーカーを取材しました。印象に残ったのは、彼らの「サプライチェーン」参加への執着心の強さ。台湾のメーカーは、iPhoneの受託製造を手がけていることで知られる鴻海精密工業を筆頭に、IT機器のサプライチェーンにうまく入り込んだことで、大きく成長してきました。
IT機器製造での「水平分業」は、パソコンやスマートフォン、ウェアラブルなどの主要デバイスで絶大な威力を発揮し、このサプライチェーンのどこに位置するかは、収益を大きく左右します。
台湾メーカーは、伝統的にモジュール開発や中国を活用した組み立てサービスに強く、日本の大手電機メーカーは、自社ブランドを冠して販売する川下領域を強みにしてきました。
ところがスマートフォンの失敗を境に、ITデバイス領域で日本メーカーのブランドを冠した製品の販売が急速に低下。「サプライチェーンから日本メーカーの名前が次々に消えている。大丈夫か?」と、台湾メーカー幹部に心配されるありさまです。
液晶やCCDイメージセンサ、フラッシュメモリなどで残っている日本メーカーはありますが、これ以上、世界のサプライチェーンから遠ざかることのないよう、盛り返しの策を打ち出したいところです。(安藤章司)
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ウェアラブルの時代はもう目の前に来ているメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.7.31」より