VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を実際のビジネスに適用する動きが活発化している。ITホールディングス(ITHD)グループのTISは、独自に開発した3次元CGアプリケーション開発ツールとヘッドマウントディスプレイ(HMD)を組み合わせた住宅販売会社向け「VR内装体験システム」を開発。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)も、主力商材の一つであるVRとARを組み合わせたMR(複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」を活用して製造や建築・設計、教育、医療などへの活用を視野に入れている。

TIS
平井孝幸
室長
 TISは、3次元CGアプリケーション開発ツール「CyberWalker SDK(サイバーウォーカーSDK)」を開発しており、メガソフトが販売している住宅の間取りデザインソフト「3Dマイホームデザイナー」に組み込まれているエンジンとしても有名だ。このSDKとHMDを連携させて、住宅販売や住宅リフォームを手がける企業向けに「VR内装体験システム」を、今年5月に販売を開始した。これにより、着工前の住宅の間取りをHMDを通じて確認したり、あるいはプラントや工場内のレイアウトのイメージを事前に投影することが可能になる。

 事業を担当するTISの平井孝幸・3Dビジュアライゼーション推進室長は、「HMDには特有の“没入感”や“臨場感”があって、これに3次元CGアプリなどで開発したコンテンツを投影することで、あたかも実際に存在するかのようなイメージを得られる」と説明する。

 キヤノンMJの「MREAL」は、同じHMD方式を採用しているが、位置や大きさを正確に再現する比較的大がかりな装置で、製造・設計での本格的シミュレーションや、将来は医療分野への応用も視野に入れる。また、米3Dシステムズの3Dプリンタの販売にも力を入れている。「人が触って確かめなければならない部分は3Dプリンタで出力し、全体を俯瞰するイメージとして『MREAL』を活用する」(キヤノンMJの梶山良幸・ドキュメントソリューション企画部ソリューション企画課課長)として、3Dプリンタで出力した現物とMRの組み合わせも採用する考えだ。

 両社がVRやMRなどとHMDを組み合わせたシステム開発に力を入れるのは、今後、普及が見込まれるウェアラブルコンピュータを意識しているからだ。「Google Glass」のようなデバイスが普及することを見越した仮想と現実を融合した商材開発が期待される。(安藤章司)