最近、大手コンピュータメーカーの幹部の方から「ターンキー」という言葉を聞く機会が増えました。もともとは、プラント輸出や海外での建設工事などでよく使われる言葉で、「鍵を回せばすぐに使える状態」で納入することです。
社会インフラ領域に力を入れている日本の大手コンピュータメーカーが、ITシステムをまるでプラントのように捉えている現れともいえます。顧客の要望通りのシステムを、自前のハードウェアとソフトウェアを組み合わせて「フルターンキー」で提供することで、他社の入り込む余地を極力少なくするわけです。
米国のITベンダーの多くは徹底したオープン戦略で世界市場を席巻していますが、どうも日本のコンピュータメーカーはオープンなデファクトスタンダードをつくっていくのが苦手。それよりも、一括で受注して、「ターンキー・ソリューション」で納入する方式を得意としているようです。
「ターンキー」の言葉の響きは、プラントや建設業界をイメージさせますが、なんのことはない、日本の大手ITベンダーも、ときには「ITゼネコン」と揶揄されたりします。むしろ、体質に合わないことを無理に推し進めるのではなく、自分たちに合ったソリューションの提供方法に活路を見いだしつつあるといえそうです。(安藤章司)
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社会インフラに傾注 国内と新興国市場の両方を狙うメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.9.4」より