今日のひとことWeb版

「最後の大物」健在

2014/10/03 15:26

 グローバルのIT市場をリードするメガベンダーは、各社とも相応の歴史を積み重ねてきたことで、創業者が社長として経営を引っ張る例は少なくなってきました。そんな状況もあって、今年4月、日本オラクルの社長兼CEOに就任した杉原博茂さんは、当時、まだ本社のCEOを務めていたラリー・エリソン氏を、「最後の大物」と評しました。しかし、エリソン氏も直後にCEOを退き、現在の肩書きは「経営執行役会長兼CTO」。肩の荷が下りたのか、それとも何かほかの要因があったのか、今年の「Oracle OpenWorld San Francisco(OOW)2014」では、えらく上機嫌だったようです。

 OOWは、米サンフランシスコで例年開かれているオラクルの年次イベントですが、今年は「No.1クラウドベンダーを目指す」と改めて宣言し、IaaS、PaaS、SaaSのそれぞれのレイヤで、クラウド専業ベンダーと同じ土俵で真っ向勝負をする姿勢を鮮明にしました。データベースをコアに幅広い製品ポートフォリオを備える総合ITベンダーとしての力を生かし、競合に対してすでに優位に立ちつつあると言わんばかりに基調講演で強気の発言を連発したエリソン氏。そのパワーはCEOを退いても健在のようです。

 パートナー向けセッションで、クラウド時代に即した新たなパートナー制度とライセンス体系が明らかになったのは、ビッグニュースといっていいでしょう。

 ただし、OOW2012で大々的に発表されたIaaS/PaaSを含むパブリッククラウド「Oracle Cloud」は、日本ではまだ「準備中」。グローバルでみても、客観的には、オラクルがクラウドベンダーとして大きな存在感を発揮しているとはいい難い状況です。エリソン氏の「熱」が、現実のビジネスとして日本市場にどのタイミング、どんなかたちで伝わるかは、まだ読めません。(本多和幸)

【記事はこちら】
CTOがやりたかったラリー・エリソン氏、IaaS、PaaS、SaaSでほぼNo.1
米オラクルが無償パートナー制度を発表、コミュニティ型でクラウド加速
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.10.3」より
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