名前は「iCar」になるのか――。このところ、米アップルが電気自動車の開発に乗り出したうわさが濃厚になっています。『ウォール・ストリート・ジャーナル』など、複数の媒体によると、秘密の研究所を設け、数百人規模の開発チームを立ち上げたそうです。これまでも、iPhoneやiPadによって「端末」の概念を覆してきたアップルですから、今度は自動車を投入してもさほど驚きではありません。
時計、メガネ、冷蔵庫。インターネットに接続し「ビッグデータ」の世界をつくり出す端末は、速いスピードで増えています。将来は、小型デバイスだけでなく、自動車や住宅も「端末」に仲間入りして、情報を発信したり、処理したりするようになる可能性が高いでしょう。そんななかにあって、自ら自動車の開発に踏み切り、独自の端末で消費者を取り込もうとしているのは、アップルらしいといえそうです。
「当社は、システムインテグレータ(SIer)を目指している」。最近、NECの幹部から、こんな言葉を聞くことが多くなっています。
NECをはじめとする日本のITメーカーは、米IBMをロールモデルに、低付加価値のハードウェア事業から脱却して、SIやソフト開発に舵を切る動きを本格化しています。「当社は、自動車をつくっている」。果たして、日本のITメーカーはいつか、そういうふうに語ることはあるのでしょうか。端末で勝負するアップルを目指すか、それとも、端末の後方で動く仕組みづくりに注力するIBMのようになるのか――。日本のITメーカーは、まだ答えをみつけていない印象を受けます。(ゼンフ ミシャ)
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<KeyPerson>富士通 代表取締役社長 山本正已――ハードウェアがあってこそのポートフォリオ メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.2.17」より