中米のコスタリカで、3Dプリンタの斬新な活用方法が検討されています――。

 首都サンホセの近郊にある動物園に、グレシアという名のまだ1歳くらいのオオハシが棲んでいます。オオハシ(大嘴)は、中南米に生息する鳥で、大きくてカラフルなくちばしをもつことを特徴としています。食べ物を採ったり、体内の熱を逃したりするために、オオハシには大型のくちばしは不可欠ですが、不良少年によって暴力を受けたグレシアは、くちばしの一部が割れて、自力ではほとんど食べ物を採れなくなってしまったのです。

 グレシアの悲劇は、ソーシャルメディアなどを通じて、コスタリカ中に知らされた結果、動物園の担当の手元に届いたのは、3Dプリンタメーカーからのオファー。3Dプリンタを使い、割れた部分を補うための“義嘴”をつくるというものです。海外メディアによると、米国では3Dプリンタでペンギン用の義嘴をつくった前例はあるのですが、非常に特徴的であるオオハシのくちばしに関しては、初の試みだそうです。現在、義嘴の形や材料について研究されているところで、グレシアが近々、また元気な姿をみせることに期待が高まっています。

 3Dプリンタは日本でも、ITベンダーの新たな商材として注目を浴びています。しかし、製造業など一部を除き、一体どんな活用方法を訴求すれば、普及するのかに関して、ITベンダーは模索を続けています。そんななか、技術面のハードルもあるかもしれませんが、グレシアの例が示すように、義足や義手、場合によっては義嘴をつくるという「医療」が、3Dプリンタ活用の有効な分野の一つになるといえそうです。(ゼンフ ミシャ)

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メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.2.23」より