東京五輪後のIT市場を見極める

 4年後の2020年に開催される東京五輪。好景気はそこまで続くものの、五輪後には不景気がくるというのは、歴史が証明しているという。企業のIT投資は設備投資と同様に景気に左右されやすいため、IT業界としても五輪後の景気が気になるところだ。

 五輪後の不景気がなかったとしても、日本には人口減の影響がじわじわと現れてくる。企業が成長するためには、新たな市場やソリューションを開拓することが求められる。そこで、本書である。2000年から定期的に発行されているIT分野の近未来予測で、2016年版のテーマは「東京五輪後の先にある未来を読み解く」。この“五輪後”は、しばらく重要なキーワードとして使われていくことになりそうだ。

 携帯電話やゲーム市場、次世代テレビなども含まれるため、本書で取り上げている範囲は広く浅いものの、デジタル化が実現する近未来を俯瞰できるため、今後の事業展開のヒントを得るには最適である。なかでも最新のトレンドが第1章に掲載されていて、企業向けとしてはAI(人工知能)やB2Bロボット、FinTech、AgTech(農業向けテクノロジー)を取り上げている。AIに関しては最も多くのページを割いているものの、2020年頃はまだ限定的な活用にとどまるとのこと。FinTechには多くの可能性があり、紹介されている未来シナリオは非常に興味深い。また、FinTechの関連用語である「ブロックチェーン」は、他分野にも横展開されていく可能性がある。なお、クラウドとIoTについては、最後の第6章で取り上げられている。(亭)


『ITナビゲーター2016年版』
野村総合研究所 著
東洋経済新報社 刊(2200円+税)