▼「実は私、タイムシェアリングサービスを使った経験があります。今でいうところのクラウドですね」などと、講演の冒頭で切り出したが、ドッチラケ(大きくシラケるの意)だった。いつもなら昔話はしない。クラウドエンジニアへの転身がテーマのセミナーゆえの油断だった。

▼若い人ほど、年配者の昔話に興味を抱かない。ビジネスの世界では、とくに顕著だ。「俺が若い頃は……」と武勇伝を聞かされても、若手は「時代が違う」と思うだけである。こうして年配者は、時代の闇に消えていく。

▼オンプレミスかクラウドかの議論がある。「オンプレミスはなくならないが、クラウド市場は確実に伸びる」。このあたりが落としどころだが、若手エンジニアの視点は少し違う。クラウドは新興勢力のため、昔話が出てこない、今を生きる世界となる。オンプレミス対クラウドの構図は、まるで年配エンジニア対若手エンジニアの構図ではないか。オンプレミスの危機はエンジニアにあり、である。

▼昔話が盛り上がるときもある。同世代の場合だ。「俺が若い頃は……」の自慢話は、同世代を相手に盛り上がっていただきたい。(風)