▼AI(人工知能)は、学習すればするほど賢くなれる。ただ、実社会においてAIの学習機会は、そうそうあるものではないのが弱点だ。そこで、注目を集めているのが、プログラムの一種である「ボット」。

▼SNSなどで大量にやりとりされるテキスト会話を読み取って、意味を理解していく。物理ロボットや音声会話系のボットに比べ、相手がボットであるかどうかわかりにくい点も、実社会に早く溶け込み、学習を進めやすいとみられている。

▼そのボットの用途であるが、例えば、ある特定の情報を喧伝する目的で、SNSや掲示板に何千何万というボットを投入したらどうなるだろうか。選挙の候補者や商品の情報を参照しようとしたとき、実際、そこに書き込んでいるのは100人中90人(体)がボットで、誰かが仕組んだストーリー通りに議論が進み、世論が誘導される──。

▼折しも人工知能学会が「人工知能研究者の倫理綱領」の素案を公表した。選挙対策やステルスマーケティングにボットが大量動員されかねない現実がみえ始めた今、AI活用には一定の倫理規定が求められるといえそうだ。(寶)