日立製作所グループは、「フロント」というキーワードを盛んに打ち出しています。顧客との共同作業によってビジネスを革新する、いわばビジネス創出の最前線=フロントに立つ人員を強化していくのが狙いです。

 SIerから見れば、顧客といっしょにシステムづくりをするのは、「当たり前」のことなのですが、日立製作所のように重電部門を持つ会社は、伝統的に工場の力が強いという特有の背景があります。それでも「フロント重視」の戦略は示唆に富んでいると言えるのではないでしょうか。

 例えば、IoT、ビックデータ、AI(人工知能)といった新商材は、そのままで“箱売り”できる性質のものではありません。顧客との実証実験などを通じて、ビジネスを変革していく手法が不可欠。だからこそ、「フロント人員」によって改革を顧客とともに推進していく必要があるというわけです。

 日立グループは、成長分野を中心に、向こう3年間の総額で、過去3年間に比べてほぼ倍額の約1兆円規模を投資する計画を示していますが、このうち実に4割を「フロント領域」、6割を「プロダクト開発」に当てるとしています。こうした取り組みは、SIerのビジネスにとっても、大いに参考になるのではないでしょうか。(安藤章司)

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AI、IoT、ビッグデータの時代に、人間が為すべきは“目的”を決めること(上)
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.9.23」より