シンギュラリティの本来の意味を知る

 人工知能(AI)がブームとなったことに伴い、注目されている言葉がある。日本語で「技術的特異点」と訳す「シンギュラリティ」だ。さまざまな解釈があるが、本来の意味を教えてくれるのが本書だ。

 著者のレイ・カーツワイル氏は、AIの世界的権威で、現在は米グーグルで機械学習と自然言語処理の技術責任者を務めている。2005年に上梓した「The Singularity is Near」を通じて、シンギュラリティの考え方を世界に広めたとして有名だ。

 本書は、同書の要約版。670ページを超える原書を250ページ程度にまとめた。「大著で難解とされる同書をより手に取りやすく、多くの読者にアクセスしやすくすること」で、シンギュラリティへの理解を深めてもらいたいという狙いがある。

 AIに対する関心は、多くの業界で高まっている。技術が進歩し、これまで無理だと思われていたことをAIが成し遂げているからだ。さらに多くの課題を解決することが期待されており、IT業界の競争は激化の一途をたどっている。

 将来的に、AIはさらに進化し、いずれ人類の能力を超える時が到来すると予想されている。

 多くの意見のなかでは、人類にとって脅威になるとの受け止めがあり、「AIに仕事が奪われる」といった悲観論もある。

 シンギュラリティは、こうしたマイナスの状況を指す際に使われることが多い。

 しかし、本来の意味は違う。本書を読めば、著者が描く壮大な未来を感じることができる。(鰹)

『シンギュラリティは近い[エッセンス版]
人類が生命を超越するとき』
レイ・カーツワイル 著
NHK出版 刊
(1500円+税)