BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『労働時間革命~残業削減で業績向上!その仕組みが分かる』

2017/12/20 09:00

週刊BCN 2017年12月11日vol.1706掲載



社会構造の変化に適応する方法とは

 長時間労働が生産性を下げ、体力のある一部の男性以外を労働市場から遠ざけていると、著者の小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長は本書で主張する。男性は仕事、女性は家庭で家事/育児という役割分担は、若者が多く、高齢者が少なかった高度成長期だから成り立った。

 だが、1990年代半ば以降、少子高齢化が一段と進行。給料は上がらず、税負担は増え、共働きがあたりまえになる。そうなると、男女別の役割分担は成り立たない。性別を問わず、家事や介護、育児を担う社会構造の変化に適応しなければ、人材が集まらずに、企業経営が行き詰まりかねないと警鐘を鳴らす。

 本書では少子高齢化/低成長時代に適応しようと努力する企業や団体が、いかにして労働時間内に仕事を終わらせ、育児や介護、自己研鑽などに時間を割り当てながら生産性を高めているかをていねいにレポート。とかく長時間労働が問題となるIT業界にも参考になるはずだ。(寶)
 

『労働時間革命~残業削減で業績向上!
その仕組みが分かる』
小室淑恵 著
毎日新聞出版 刊 (1200円+税)
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