顧客からの用命に応じてハードウェアを用意し、ソフトウェアを組み込んでソリューションを構築する――日本の情報サービス市場で長年主流となっていた提供形態です。要件に応じて最適なサーバーやストレージを柔軟に選択可能という特徴がありますが、その背景には、ハードウェアを製造する大手電機メーカーが国内に複数存在し、自社でシステム構築サービスも提供してきたという業界構造がありました。メーカーとしては自社のサーバーを1台でも多く売りたいわけですから、このような提供形態になるのはある意味で当然でした。

 バックアップソフト大手のベリタステクノロジーズによると、昨年は「アプライアンス製品」の販売が非常に好調だったといいます。最初にこの話を聞いたとき、国内の販売パートナーであるメーカー各社が、ベリタスのソフトと自社のハードを組み合わせてバックアップアプライアンスを作っており、その販売が好調ということなのだと思い込んでいました。

 しかし詳しく説明を聞いてみるとその理解は誤りで、ここでいうアプライアンスとは、ベリタスからハードとソフトの両方が提供される製品のことを指していました。つまりメーカー各社は、今や必ずしも自社製品にこだわっているわけではなく、完成済みの製品を仕入れて納入する形態も「あり」という判断に傾いているということになります。目まぐるしくビジネス環境が変化する現代では、顧客の数年先の状況を見越した精密な設計・構築が難しくなっており、それならばオーダーメイドよりも、素早く導入可能なアプライアンスのほうがメリットが大きくなります。売り手の事情より顧客のニーズに寄り添った結果と言えるかもしれません。(日高彰)