今こそ「眠り方改革」を

 日本では、約800年前の文献にも睡眠障害と思われる記述があるという。睡眠の悩みは、寝る間も惜しんで仕事や勉学に励むのを美徳とする日本人の精神的風土に影響された問題かもしれない。

 近年、「睡眠負債」という考え方が知られるようになった。1日あたりの睡眠不足はわずかでも、それは借金のように蓄積し、週末に少し長く寝た程度では“返済”できないことを指している。

 著者は、この概念を提唱した米スタンフォード大学・睡眠生体リズム研究所で、現在所長を務める医師。睡眠の問題の最新動向を簡潔にまとめている。目安として、休日に時間を気にせず寝ると平日よりも2時間以上睡眠時間が長くなる場合、負債が発生している可能性が高いという。また、睡眠を測るセンシングデバイスの進化に関して、筆者は「日本は10年くらい遅れている」と述べ、この分野でのデータ活用も米国のIT企業が先を行くと指摘する。

 世界有数の睡眠不足の国であることが統計的に明らかな日本は、この問題により主体的に取り組むべきだろう。(螺)
 


『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』
西野精治 著
KADOKAWA 刊(900円+税)