コロナで変わる働き方、オフィスの存在意義はどこに?

 新型コロナウイルス禍により企業のテレワーク導入が拡大していることで、オフィスの存在意義が揺らいでいる。ベンチャー企業ではオフィスの縮小、移転が進み、解約した企業もある。大企業においてもオフィスのあり方を見直す動きがみられ、3年後のオフィス半減を表明した富士通や、本社機能の淡路島移転を決めたパソナグループは大きな関心を集めた。

 これからの時代、オフィスは不要になっていくのか。本書では、さまざまな企業の新しい働き方やオフィス見直しの取り組みについての取材を基に、日経クロステック記者が「オフィス不要論」の実態を解き明かしている。

 結論から言うと、コロナ前の従来型オフィスが不要であることは否定しないものの、物理的なオフィスが完全に要らなくなるわけではないというのが、本書の主張だ。「セレンディピティ」「企業内ソーシャルキャピタル」「同時性」の3点においてオフィスには価値があると指摘した上で、企業がオフィスですべき業務を洗い出し、それに応じた空間を設けていくことや、従業員が業務に応じて働く場所を選びながら仕事ができることが、これからの時代のオフィスの存在意義や新しい働き方になると説いている。

 本書では、オフィスを見直す企業の取り組みだけでなく、働き方を変えた個人の動きも紹介している。経営視点でオフィスのあり方を再考するだけでなく、一従業員としてどのような働き方を実現していくかを考えるきっかけにもなる。(宙)
 


『さよならオフィス』
島津翔 著
日経BP 日本経済新聞出版本部 刊(900円+税)