理不尽の裏側に解決のヒントが隠れている

 2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏の直近の随筆。コロナ禍による価値観の変化を織り交ぜつつ、ひろゆき氏がSNSなどで語ってきた評論を整理してまとめたもので、仕事や社会など身近な事柄のなかに潜んでいる理不尽の原因を解き明かしている。

 例えば、高度成長期に家庭を顧みず、長時間の残業や根性論でがんばってきた前世代的な古い価値観を、現役世代にも押しつけたことが一因となり、時間当たりの生産性が他の主要国に比べて格段に低くなっている。また、功成り名遂げた新進気鋭の起業家も、たまたまそのとき目の前に著しく成長する市場を見つけたからに過ぎず、偉人伝のような美談はほとんどない。“どんな境遇でも、がんばれば報われる”という「物語を見せたがっている」だけだと容赦ない。

 見方を変えれば、今の成熟市場で生産性を高めたり、将来成功を手にしたければどうすればいいのかのヒントが見えてくる。努力の方向性や、活動の場所を間違えないことこそが仕事をする上での本質--。本書で言うところの「世の中の真実」の一端となる。

 ただ、社会が成熟すればするほど貧富の差が固定化される傾向にあったり、ロボットやAIを活用して生産性を追求すればするほど失業者が増えるという矛盾。世代間の不公平感は簡単にはなくならず、不満を抱えている今の若者もいずれ老人になるという現実。不条理で残酷な一面がある世の中でも、「逃げないで直視してみると、なかなかおもしろい」と、ひろゆき氏は語っている。(寶)
 


『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』
ひろゆき 著
三笠書房 刊(1400円+税)