▼富山湾に位置する魚津港は蜃気楼が見える観光地として有名だ。蜃気楼のシーズンは3月下旬から6月上旬だが、今年は11年ぶりに2月に蜃気楼が観測された。吉兆であることを願う。

▼富山湾に流れ込む雪解け水が大気の下層を冷やし、上層との温度差ができることで光が屈折して蜃気楼が発生するという説が従来は支配的だった。しかし近年の観測では、下層が冷えるのではなく、陸地からの暖気で上層の温度が上がるという現象も確認されている。どちらにしても上暖下冷ではあるが。

▼メカニズムを解明するのは容易ではないが、IoTの浸透などを背景に神秘を解き明かす試みも徐々に進んでいる。魚津市は1週間の蜃気楼予報を公開しているが、精度が上がれば観光客も呼びやすい。この状況下でも、屋外で眺めるだけならリスクは小さいだろう。

▼働き方改革やDX、ニューノーマルといった近年のバズワードは、IT市場に蜃気楼を生み出している側面がある。幻の成果を見せながら、本質的な価値につながらない提案でユーザーの足腰に冷たい空気を送ってしまうようなITベンダーは、早晩自らも蜃気楼と化すリスクを抱えている。(霹)