欧米で廃止の議論が盛り上がる

 夏の日照時間の有効活用を目的に、欧米・オセアニアの一部で実施されているサマータイム。実は、日本でもGHQの支配下にあった戦後間もない時期に、一度導入されたことがあった。始業時刻は守っても残業の増加には無頓着だった日本では、労働時間の増加や睡眠時間の減少を招き不評だったという。
 

 2018年には、20年に開催される予定だった東京五輪の猛暑対策として、期間限定で時計を2時間進めるというアイデアが政府与党から飛び出したのは記憶に新しい。効果に疑問があるばかりか、コンピューターシステムへの計り知れない影響が予想され、あっけなく導入断念となった。

 米国では今年3月、実質的なサマータイム廃止法案が上院で可決された。下院を通過しバイデン大統領が署名した場合、23年は秋になっても夏時間から標準時間に戻さず、以降、恒久的に夏時間で固定する。1916年に世界で初めてサマータイムを導入した欧州でも、廃止の議論は活発だ。生活リズムを崩すことによる健康への悪影響も指摘されている。サマータイムは20世紀から21世紀前半にかけての人類だけが経験した奇妙な習慣として語り継がれることになるかもしれない。(螺)


由来
戦後の占領下で、日本初の夏時間(サマータイム)が1948年5月2日から9月11日まで実施された。日本の主権が回復されるまでの4年間のみで廃止となった。