BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『カスハラの犯罪心理学』

2023/07/14 09:00

週刊BCN 2023年07月10日vol.1976掲載

拡大するカスハラの原因を探る

 近年、顧客や取引先からの著しく理不尽な要求や迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が大きな課題となっている。BtoB取引が主流のIT業界においても、カスハラ被害が出てきており、週刊BCNでは、3月27日・1962号でカスハラに対応方針を示すITベンダーの取り組みを紹介した。

 著者は、山形県警の科学捜査研究所(科捜研)で犯罪者の特徴を推論するプロファイリングを担当し、現在は、大学教授として犯罪心理学を研究。犯罪心理学の観点からカスハラを分析する。

 「お客様は神様です」。国内では、お馴染みの言葉であり、企業もこの考えに沿って、顧客を満足させるため良質なサービスの提供を目指している。しかし、その結果、必要以上のサービス提供やネット上での風評被害に過剰反応するといった状況が生まれ、消費者がカスハラ行動を取りやすくしていると指摘する。また、カスハラ加害者のタイプを五つに分け、その特徴などを紹介。実際の事件を基に説明しているため、分かりやすい内容となっている。特に、カスハラにはストーカーと似た加害者心理があるという解説は印象的だった。

 カスハラの実態を知りたいという人にお勧めの一冊だ。(帆)
 


『カスハラの犯罪心理学』
桐生正幸 著
集英社インターナショナル 刊 979円(税込)
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