▼数年前に住んでいた中国では、2次元バーコードを活用した決済サービスが広く浸透していた。店舗での支払いや個人間の送金はスマートフォンさえあれば事足りた。日本でほぼ毎日使っていた財布を持ち歩かなくなり、身軽さを感じたことを覚えている。

▼中国浙江省杭州市で開催されていたアジア大会が10月8日に閉幕した。同市は、IT企業のアリババグループが本社を構えることで知られている。今大会では、グループ企業が提供するコード決済サービス「アリペイ」のアプリ上で、各競技の結果を見たり、地図などのサービスを利用したりすることができるようになっていた。

▼中国では、コード決済サービスの普及によって生活の利便性は確実に向上した。企業が提供するサービスの幅が増え、新たな商機につながっていた面もある。IT活用が課題となっている日本にとって学ぶことは多いはずだ。

▼次のアジア大会は、2026年に愛知県などで開かれる。各国から大勢の選手や関係者が訪れるだけに、アピールの場としては絶好の機会になる。中国がコード決済サービスで注目を集めたように、日本もチャンスを逃さないことを期待したい。（鰹）