▼1月29日、経営の行き詰まりが伝えられている中国の大手不動産デベロッパー・恒大集団に対し、香港の裁判所が法的整理の開始を決定した。経営再建に向けた一つの節目ではあるが、同社の資産のほとんどは中国本土にあるとされ、不動産を処分して債務の返済に充てるには、本土の裁判所の許可を得る必要があり、先行きは見通せない。

▼中国の家庭では、不動産が資産の大きな比率を占めていることから、不動産不況があらゆる消費にブレーキをかけているとみられている。中国の投資家の間では、中国企業の株を売って日本企業に投資する動きが加速しており、近ごろ日本の株価が堅調な要因の一つとする分析もある。

▼ただ、中国経済は一言で語るにはあまりにも巨大だ。電気自動車大手の比亜迪（BYD）は、2023年度12月期の純利益が前期から74％以上増加するとの見込みを発表した。格安通販サイトの「SHEIN（シーイン）」や「Temu（ティームー）」は、知的財産権などの問題を抱えながらも、米国や日本の若者の間で大人気だ。依然として世界的な競争力を持つ企業は多い。市場の動きを見通すには、広角と望遠の二つのレンズを巧みに使い分ける必要がある。（螺）