BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『世界最高の質問術 一流のビジネスリーダー45人が実践する 人を動かす「問いかけ」の極意』
2025/06/13 09:00
週刊BCN 2025年06月09日vol.2062掲載
新しい視点を得るために
質問は難しい。記者の仕事は、適切な質問を相手にできるかで完成度が左右される。いかに言葉を引き出すか、そのためにどんな質問をするか。試行錯誤を続ける日々だ。本書は、企業の経営者が組織をマネジメントする際の質問の重要性を説く1冊だ。グローバル企業を中心とした一流のビジネスリーダーが、部下に適切で効果的な質問を投げかけることで、個人を変え、チームを変え、組織を変えることができたという実例を紹介している。現代のビジネスは複雑化し、トップが隅々まで現状を把握するのは難しい。そこで、周囲や部下に質問することで新しい視点を得られるという。
その際に大切なのが、相手がポジティブな返答ができる聞き方をすること。「どうして計画より遅れているんだ」と聞かれるより、「現段階でこの計画をどう感じているか」「これまでに成し遂げたことの中で、一番満足しているのは何か」と聞かれた方が前向きな答えが返ってくるのはその通りだろう。
「深い熟考を促す質問」「ゆるいたずね方」「賛成できない話にどう対応すべきか」など局面ごとの具体例も丁寧に紹介している。世界のトップへのインタビューから導き出した「完全無欠の質問術」。誰の仕事にも、すぐに応用できそうだ。(緑)

『世界最高の質問術
一流のビジネスリーダー45人が実践する
人を動かす「問いかけ」の極意』
マイケル・J・マーコード、ボブ・ティード 著、黒輪篤嗣 訳
新潮社 刊 2640円(税込)
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