今日は何の日

<今日は何の日>9月22日「フランス革命暦の元日」

2025/09/22 09:00

週刊BCN 2025年09月22日vol.2076掲載

1時間=60分という常識への挑戦

 長さは「170.4cm」、重さは「58.6kg」、価格は「147円65銭」など、何かの量を数値で表現するときは基本的に十進法を用いるが、なぜか時間は六十進法で数える。「秒」の60倍が「分」、さらにその60倍が「時間」だ。「1時間75分83秒」という数え方はしない。角度も、円の1周が360度という一見中途半端な単位で、1度をさらに細かく60分に分けることもある。

 これは、小数よりも分数のほうがはるかに昔から使用されていたことに関係するらしい。時間や角度の単位は、1日や1周といったサイクルを分割する形で決まっていった。60は、2から6まですべての数できれいに割りきれる。分数がベースならこのほうが自然というわけだ。

 この常識に挑戦状をたたきつけたのが、18世紀末に王政を打倒したフランス革命政府である。現在も使われるグレゴリオ暦をカトリック教会由来のものとして敵視し、王政廃止の翌日を元日とするフランス革命暦を制定。さらに時間の単位も、1日を10時間、1時間を100分、1分を100秒に再定義した。時間が計算しやすくなるという合理性はあるものの、従来の生活習慣とかけ離れたこの体系が受け入れられることはなく、ナポレオンの皇帝即位後にグレゴリオ暦が復活。数学的な均整が人々にとって心地よいとは限らない。(螺)
 


由来
18世紀のフランスで、革命による王政廃止宣言の翌日である1792年9月22日を元日とする暦の「フランス革命暦」が制定された。実際に普及することはなく、約12年でグレゴリオ暦に戻された。
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