全ての人が知り、考えなければいけないこと
インターネットの普及により、世界中の人々は極めて低廉な通信コストでリアルタイムにつながれるようになった。世界は小さくなり、価値観の均質化が進むだろうと思われた。
しかし実際には、世界の価値観の対立はますます大きくなろうとしている。本紙のこの号を制作している間にも、米国とイスラエルがイランへの大規模な攻撃を開始したという知らせが入ってきた。IT業界でもここ数年、「地政学」という言葉を耳にする頻度が急増している。企業や政府が調達するIT機器やソフトウェア、サービスが、信頼できる国から提供されるものなのか厳しく問われるようになりつつある。
国際社会の中で勢力の対立はなぜ発生するのか。私たちの暮らしやビジネスにはどんな影響があるのか。本書は、今多くの人が関心を持つ地政学を、国際政治記者として世界を取材してきた著者が豊富な知見を基にわかりやすく説明している。ネットを通じた情報工作や、ドローン兵器への対応の難しさなど、最新の状況を踏まえた世界の見方や、核保有の問題など、私たちが考えるべきトピックについてのヒントを与えてくれる。次の世代に平和を伝えていくため、地政学は現代人にとっての必修科目となっている。(螺)
『世界を解き明かす 地政学』
田中孝幸 著
日本経済新聞出版 刊 1980円(税込)