芸術と資本主義
芸術には多様な見方がある。時代の流れに一石を投じるものもあれば、ある人の心を癒やすこともある。また別の人にとっては投機的な売買の対象でもあるだろう。
芸術の価値は人それぞれではあるが、鑑賞するにも制作するにも費用はかかり、現代において芸術とお金は切ってもきれない関係にある。本書では芸術と資本主義の関係を多様な視点から解説し、芸術の存在意義を捉え直す。
市場の論理が作家に作用することはあるが、芸術がビジネスに影響を及ぼすこともある。例えばスティーブ・ジョブズ氏が美術の知見を基に、「Mac」のタイポグラフィーを設計したことが知られている。ほかにも視覚芸術やガラス工芸を学んだ起業家が世界的なイノベーションを起こした例もある。芸術にどのような価値を見つけるかはアイデア次第であり、価格では計れない価値を引き出すこともできる。
もちろん、忙しい現代のビジネスマンに、芸術の学習に多くの時間を費やすことは難しいだろう。それでも休日にギャラリーや美術館を訪れて、作品に対して自分なりの解釈を巡らせれば、ビジネスのヒントを導き出せるかもしれない。(石)
『芸術の価値とは何か AIが奪い尽くすからこそ、アートに“解”がある』
秋元雄史 著
中央公論新社 刊 1210円(税込)