SNS上の共感から始まるコミュニティー
本書では現代のコミュニティーの一種である「○○界隈」について、約50種類が表にまとめられている。エンタメコンテンツのプレイヤー同士(「ポケカ界隈」など)もあれば、日常生活の振る舞いが似通った人々のつながり(「風呂キャンセル界隈」など)を表すこともある。こうした界隈の盛り上がりが経済活動につながった実例を交え、市場攻略を指南する一冊だ。
このようなコミュニティーはSNSが主戦場になっている。個人的な体験を書いた投稿が共感を集め、キャッチーな名前が付き、数多くの人が自称することで形成される。企業側はこの属性の人たちの興味を引く商材をアピールするが、一般的なファンマーケティングとは構図が異なるという。商品をきっかけに人が集まるのではなく、似たような人が集まることで商品が選ばれる流れだ。
筆者は「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」の考え方を用いて、界隈で共通体験となっている場面で、商品を想起してもらう仕掛けが重要だと唱える。人々を細かく分類してターゲット層にする従来型の手法ではライトユーザーを取りこぼしかねない。顧客属性ではなく状況を商品の入り口にする発想が、界隈ビジネスの勘所だと説いている。(潤)
『界隈経済圏 「平成女児」「風呂キャンセル」から「伊能忠敬」「皇居ラン」まで』
牧口松二 著
日本経済新聞出版 刊 1100円(税込)