▼「趣味は何ですか」と聞かれても、スポーツや芸術のようないかにも趣味らしい活動習慣がないので困ってしまうのだが、散歩は自分の趣味と言えるかもしれない。先週末も、約16キロの道のりを休み休み6時間かけて歩いた。特に目的地があるわけではなく、ただ街を眺め、道すがらに見つけた店や旧跡に立ち寄るなどするだけだ。
▼散歩の場所は都心がいい。広々とした郊外も悪くはないが、風景の変化に乏しいコースは飽きが来るのも早く、長い時間を費やすには不向きだ。私は、角を曲がるたびに新たな発見がある、細い路地が密集している地域が好きだ。東京の都心は高級住宅地から下町まで多彩で、エリアごとにそれぞれの生活様式が感じられるのも面白い。ただ街を歩いているだけだが、刺激が尽きることがない。
▼デジタルメディアが発達し、目的の情報に素早くたどり着ける時代になった。調べ物のために丸1日図書館にこもるようなことは少なくなった。しかし同時に、書架の間を歩きながら思いがけない本と巡りあうといった機会も減っている。時には散歩のように、目的から離れた情報摂取の時間をあえて設けることが必要かもしれない。(螺)