届いた文章の違和感の正体
自宅に関することで最近、ある業者とメールで打ち合わせをしていた。逐一細かく返信があるので、丁寧な担当者だと感じた。しかし、何度かやりとりをするうちに、実のある提案はあまり含まれておらず、私からの連絡を言い換えたり受け止めたりするだけの部分が大半なことに気付いた。担当者は生成AIで文面を作成していたのではないかと感じた。
業務での生成AIの利用は当たり前になったが、AIがつくったものをそのまま出されると、受け取った人はその価値を低く評価する。AIに仕事を丸投げしていたのならそういった反応も仕方ないが、独自の意図や努力が込められたものまで、AI出力だからと下に見られたらたまらない。
本書はそのような、「AI文体」のクセを排除するためのテクニックが紹介されている。「**」といった強調記号、「結論から言うと」のような頻用表現の削除はもちろん、大げさな前置きや中身のない結びの一文など、AIを使い慣れた人だから気付く「AIっぽさ」の指摘は面白い。そして、AIのクセを排除して人間らしい文章に仕上げると、結局は書き手の知識や経験、思考や視点の独自性や鋭さが評価の対象になる。今後AIの文章がより自然な表現になれば、人間ならではの仕事の価値がこれまで以上に問われるだろう。(螺)
『文章からAIくささを消す方法 ポン出し原稿の直し方とAI文体の見抜き方』
飯田一史 著
講談社 刊 1375円(税込)