捨てられない映像
自宅には、まだビデオデッキがある。ただ、最後に使ったのがいつだったか思い出せない。もう10年以上、電源を入れていない気がする。
それでも捨てられない。自分の結婚式や子どもたちの幼いころの映像が、ビデオテープで残っているからだ。見返す機会はほとんどない。それでも、いつか懐かしむ日が来るかもしれないと思ってしまう。使わないのに手放せないのは、案外こういうものだ。
15年ほど前にテレビを買い替えたとき、ブルーレイディスクのデッキも買った。録画した番組をディスクに残せることに、少しわくわくした記憶がある。だが、こちらも最近はほとんど使っていない。見逃したテレビ番組はTVerで見られる。映画やドラマはNetflixなどの配信サービスで探せる。
映像を見る環境は大きく変わった。借りに行く、録画する、保存する。そんな手間は少なくなり、見たいものにすぐたどり着けるようになった。便利になった一方で、テープやディスクを手に取る感覚は遠くなった。
メディアのかたちが変わっても、思い出を映像に残したい気持ちは変わらないのだろう。いまはスマホで手軽に動画を撮り、家族や友人と共有できる。ただ、棚の奥にしまったビデオテープには、簡単に捨てられない重みがある。(洛)
由来
1996年11月にDVDが発売されて20年、2006年11月にブルーレイディスクが販売されて10年となった16年に、映像ソフトの魅力を発信しようと制定。祝日の11月3日、家でゆっくり映像を楽しんでほしいとの思いが込められている。