PCリサイクル直前リポート

<PCリサイクル直前リポート>第1回 JEITA、回収に向け準備に拍車

2003/09/01 16:51

週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載

 10月1日に実施される個人向けのパソコンリサイクル。電子情報技術産業協会(JEITA)をはじめ、業界団体やメーカー、ショップ、自治体などの取り組みが気になるところだ。果たして、パソコンリサイクル実施に向けた対応は万全なのだろうか。

 JEITAは、個人向けパソコンリサイクルの実施に向けた準備を一段と急いでいる。今年4月の経済産業省や環境省による関係省令の一部改正を受けて、これまで着々と準備を進めてきたものの、「対応は、まだ万全とはいえない」(海野隆・パソコン3R推進室長)と語る。

 パソコンリサイクルに対応していくうえで重要な点は、JEITAが構築した回収スキームに対するパソコンおよびディスプレイメーカーの参加状況だ。回収スキームの構築は、全国2万か所以上の拠点をもつ日本郵政公社との提携により実現した。

 ショップブランドのオリジナルパソコンに関しても、リサイクルの対象であるため、今年6月には、オリジナル商品を取り扱うパソコン専門店および家電量販店向けに「パソコン3R準会員制度」を導入。複数の大手パソコン専門店の参加が決定している。

 8月25日の時点で、回収スキームに参加する企業は32社にのぼる。これにより、排出されるパソコンおよびディスプレイの9割以上がカバーできる見込みだ。しかし、すべてが参加したわけではない。残りの1割弱に関しては、JEITAの回収スキームの枠外に残されるのも事実である。

 こうした課題を解決していくために、JEITAでは他の業界団体や自治体、ショップなどとの連携を一層強化していく方針を固めている。他の業界団体に対しては、パソコンリサイクルに関する情報提供の場として直前セミナーを開催するなど、引き続き取り組みを強化していく。

 回収スキームへの参加を促すためには、同スキームで回収される製品に印刷もしくは貼付する「PCリサイクルマーク」の重要性を消費者にどれだけ訴えられるかもカギとなる。

 消費者への認知度向上については、ショップに対してパソコンリサイクル用のポスターを9月中旬をめどに配布するほか、消費者からの問い合わせに対応するためのマニュアルを作成。自治体関連では、ポスターの配布に加えて、自治体が開催するイベントなどに参加してパソコンリサイクルの浸透を図っている。

 9月6-7日にかけては、宮城県仙台市で開催される「エコフェスタ2003」で、郵政公社との提携で実現したパソコンリサイクルの回収スキームを中心とした消費者向けセミナーを行う。

 2-3年後には、PCリサイクルマーク付きのパソコンを廃棄するユーザーが出てくる可能性が高い。

 消費者に対して、JEITAの回収スキームに参加している企業のパソコンを購入する場合と、そうでない場合の違いを、明確に説明することがますます重要になってくるだろう。(佐相彰彦)
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