日本ネットワークアソシエイツ(NAC)は、昨年10月に再参入したコンシューマ向け事業で、パソコンショップや家電量販店などの店頭による販売以外のチャネルを強化する。ISP(インターネットサービスプロバイダ)経由でのウイルスチェックサービス販売や、メーカーパソコンへのバンドル展開、さらに自社のホームページを中心としたダウンロード販売の3つの販売モデルを強化する方針で、初年度の目標獲得ユーザー数80万人のうち、「約7割を店頭以外の販売ルートが占める」ことを計画している。
コンシューマ事業を陣頭指揮する田中辰夫・コンシューマ営業統轄本部長(
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NACは、昨年10月1日のコンシューマ市場再参入からの約4か月間で、お試し版(無料)ユーザーを含め約25万人のユーザーを獲得しているという。発売後1年間で80万人のユーザー獲得を目標に掲げているが、そのなかで「店頭以外での販売が約7割を占める」(田中本部長)と予測する。
現在最も積極的に動いているのがISPとの提携によるサービスモデルだ。昨年11月からKCOMのブロードバンドサービスおよびIP電話サービスを利用する会員向けに、セキュリティ対策サービスを月額250円で提供するサービスを開始。1月下旬からはNECが提供するビッグローブのユーザー向けに同様のサービスを始めた。さらに、「具体的な提携先は言えないが、数社との協業体制を年内に構築する予定」(田中本部長)だという。
ダウンロード販売についても、現在は自社のホームページからのダウンロード販売しか実施していないが、今後ベクターなどのダウンロード販売専門サイトでも提供開始する。バンドルでは、松下電器産業とNECのパソコンのバンドルがすでに始まっている。
田中本部長は、「店頭をやめるわけではない。店頭でソフトを購入するユーザーが現段階では大半であり、また、ブランディングや知名度を上げるためにも必要なルートだと考えている。だが、ブロードバンドの普及でユーザーのインターネット環境が整ったことで、販売形態はこれまで以上にオンラインに依存する方向になる。販売ルートを豊富に持つことが、ユーザー獲得につながる」と、その戦略を説明する。