全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>16.東京・新宿(下)

2004/02/23 18:45

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

 東京・新宿地区が本拠地のさくらやは、カメラ量販店が密集している新宿駅西口周辺で、競合店舗に負けない価格やポイント還元率の高さをアピールする販売戦略を展開している。

さくらや、競合との差別化を模索

 激戦区の最中にある新宿西口駅前店は、「価格やポイント還元で競合店舗に見劣りしないのは当たり前。あとは、街自体の集客率が高い新宿地区で、いかに新規の来店者を増やせるかがカギ」(太田泰店長)と話す。今年度(2004年2月期)が「売り上げ、利益ともに前年度並みの見通し」と厳しい状況であることに加え、「従業員が少しずつ減少している」のも事実だからだ。

 同店は、西口駅前にある地下3-地上10階の複合施設「新宿パレット」の地下2階から地上4階部分に店舗を構える。この複合施設がJR線と地下鉄丸の内線、都営大江戸線の新宿駅などと直結しているという立地の良さで、1日平均の来店者数が平日でビジネスマンを中心に8000人前後、土日でファミリーを中心に1万人を超えている。レジ通過数は平日が2500-3000人、土日が3000-4000人。購入者の8割以上がポイントカードを提示。「一定のお客さんは確保できている」と自信をみせる。

 しかし、「リピート客をさらに増やすことが課題」としており、「今後は、お客さんが快適に店内を見て歩けるような接客に力を入れる」という。フロア内に「お客様の声」というボックスを設置し、来店者が接客で受けた印象をボックスに投書できるようにしている。接客教育では、太田店長が売り場に出て従業員の接客をチェックするとともに接客の仕方の見本を示す。

 接客時間は平均で15-20分と設定しており、「お客さんが納得するまで説明する。その接客で購入に結びつかなかったとしても、次の来店に結びつける」ことを徹底している。

 来店者は、初心者が大半であるため、分かりやすい商品の展示を心がける。「POPは、できるだけ専門用語を使わない」ことで各商品の用途や特徴をわかりやすくアピール。

 売り場の改装については、薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタル家電機器のスペースを拡張する検討を行っている。売上構成比で最も高いのがデジタルカメラで、全体の15%。次いで、ノートパソコンが9%を占める。しかし、「最近では、薄型テレビとDVDレコーダーがともに売上構成の中で伸びており、売上額も前年の2-3倍に伸びている」ことで、デジタル家電売り場を広げるリニューアルを実施する。増床の時期は今後詰める。

 価格競争やポイント還元競争だけでは限界も見えてくる。競合店と、いかに差別化を図れるかが激戦区で生き残るポイントといえそうだ。(佐相彰彦)
  • 1