全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>34.広島市中区(下)

2004/07/05 18:45

週刊BCN 2004年07月05日vol.1046掲載

 固定客の確保に向けた策を講じる状況は、デオデオやベスト電器など大手量販店だけに限られたことではない。広島市中区紙屋町周辺に店を構えるパソコン専門店でもそれは同様だ。これらのパソコン専門店では、パソコンおよび関連機器に特化し得意分野の品揃えを強化することで、来店のメリットを訴えている。

得意分野で固定客を確保

 ソフマップギガストア広島店は、パソコンやデジタルカメラなどの中古品コーナーをこのほどリニューアル。売り場面積約3000平方メートルの内、約15%だった同コーナーを2倍近い30%弱まで拡大した。

 「中古品の販売ではどの競合店舗にも負けない」(宮浦勇店長)と、中古のパソコンとデジタルカメラのセット販売で10万円以下という価格を打ち出す。さらに無線LAN関連機器と中古ノートパソコンを組み合わせるといった用途面をアピールするなど工夫をこらしている。それというのも、「売上全体の30%程度を占める中古品を拡販することで利益を高める」(同)ことが狙いだからだ。

 組立パソコン用パーツ専門店のドスパラ広島店は、1000アイテムある品揃えのうち、「ほとんどがサプライ品。パソコンを自作するためのネジ1本でも競合他社より多く揃える」(佐々木伸也店長)ことで差別化を図る。

 アロシステムが運営するパソコン工房広島店では、BTO(注文生産方式)パソコンの販売に力を入れ、パソコン中級者を中心に顧客を開拓してきた。しかし、「顧客を増やした一方、メインターゲットである上級者の顧客数が減少している。パーツショップの原点に戻ることも重要」(井上竜治店長)と強調。上級者やマニアをターゲットに「どの店でも展示していない“キワモノ”と呼ばれる商品を揃える」(同)と、今年度(2005年3月期)は全アイテム数を昨年度の3倍にあたる2000点まで一気に増やしている。

 家電量販業界で売上高トップで、しかもプライスリーダーであるヤマダ電機が中区新天地という広島都市圏に進出したことはパソコン専門店にも脅威。紙屋町周辺の各パソコン専門店では、「他でも扱っている商品を売るだけではだめ」(ソフマップギガストア広島店の宮浦店長)、「得意分野がなければ、固定客は減少する」(パソコン工房広島店の井上店長)など、ヤマダ電機を相当意識している。競争が激化している広島市中区で、パソコン専門店は固定客の確保で利益を伸ばす、という方策で生き残りを賭ける。(佐相彰彦)
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