拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>2.DVDレコーダーとホームネットワーク(上)

2004/09/13 16:51

週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載

 HDD内蔵型DVDレコーダーの売り上げが好調だ。2003年後半から急激に市場が立ち上がり、アテネオリンピックなどの影響もあって、今年も順調に売り上げを伸ばしている。全く新しい製品は、世帯普及率が10%を超えると、アナウンス効果(口コミで利便性が伝わっていくこと)が現れ、普及が加速する。このため、世帯普及率10%に達すると見られる05年前後から、さらに急激に市場が伸びるものと思われる。(廣戸健一郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 HDD内蔵型DVDレコーダーの市場が急激に立ち上がったのは、HDDを搭載したことで機器の利便性が大幅に向上したためである。急激に伸びるデジタル家電に共通して言えることは、利用スタイルが従来の機器と比べて大きく変わり、利便性が大幅に向上することである。

 フィルムカメラの時代は現像費用が気になり、シャッターチャンスを慎重に選んだものだ。ところがデジカメでは、メモリ一杯撮って、不要なものを後から消去するというスタイルに変わった。

 同様に、HDD内蔵レコーダーでは、EPG(電子番組表)から見たい番組を手当たり次第録画予約し、録画した番組はちょっと見てつまらなければ消去してしまうようになった。利用方法が、“How to record”から“How to erase”に変わったということである。

 今後数年の間は、アナログ放送を録画するレコーダーが主流を占めるだろう。デジタル放送にかかる暗号の処理が複雑であることと、DVDでは容量が足りずほとんど役に立たないことが原因である。

 現在、東芝・NECなどが主導するHD DVDとソニー・松下電器産業などが主導するblu-ray(ブルーレイ)が次世代DVDの方式として、標準化を争っている。

 これら次世代DVDを搭載し、デジタル放送をHD画質で録画できる機器が本格的な普及を始めるのは、2007-08年頃になる見通しだ。

 次世代DVDと前後して、家庭の中でネットワークを組んで、録画したコンテンツを機器間でやり取りする「ホームネットワーク」が緩やかに普及していく。近い将来、HDD内蔵レコーダーが大量の放送コンテンツを蓄積するようになる。そのコンテンツをパソコンで見たり、別のテレビで見たりしたくなるのは、自然な成り行きだ。

 ここで問題になるのはネットワーク設定の手間と、著作権管理など様々な技術的障害である。次回、ホームネットワークについて詳述する。
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