拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>18.携帯音楽・映像プレーヤー(下)

2005/01/10 16:51

週刊BCN 2005年01月10日vol.1071掲載

 今回は携帯映像プレーヤーの動向について考察する。(守岡太郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 動画再生機能を導入した携帯機器にはPDA(携帯情報端末)や携帯電話がある。これらの機器における動画再生機能は、データを保存する容量やCPUパワーの限界から高品質とは言い難く、残念ながら付加的な機能の域を出ていない。

 特に携帯電話においては、ユーザーが撮影した動画を試験的に再生する程度にとどまり、静止画の再生機能(デジカメ機能、画像付きメール機能)ほどには活用されていないのが現状である。

 動画再生機能を持つプレーヤーには、大きく分けて2つの方向性がある。

 一方はテレビ放送を受信再生できるプレーヤーである。これはサッカーのワールドカップやオリンピックなど世界的な大会の高い視聴率に着目したもので、スポーツの試合などリアルタイム性に意味があるコンテンツの視聴が主なターゲットである。

 現在これらのプレーヤーが対応しているのはアナログ放送のみであるが、2007年から全国で視聴可能となる地上デジタル放送を受信できる機器の登場も期待されている。

 もう一方は、テレビ番組を録画しておき、再生できる携帯映像プレーヤーである。これは日常的に視聴している番組を外出時の隙間時間(移動中など)を利用して楽しむスタイルを想定して開発されたものだ。外出中などの時間を有効に利用できることから多忙な現代人を中心に今後高い評価を受けるものと考えられる。

 前者は携帯テレビ的な機器、後者は携帯ビデオ的な機器と用途は異なっているが、動画再生を主な用途とする携帯機器として、両者に共通した課題の1つに操作性の改善がある。

 一般的な傾向として、動画コンテンツは音楽コンテンツと異なり、同一の内容を繰り返し再生する機会が少ない。毎回新しいコンテンツを視聴するには、選局・内容選択の操作が日常的に必要となるが、ユーザーにとってそれが負担にならない程度にこの操作を簡易にする必要があるだろう。

 現在のところ、携帯動画プレーヤーは価格や容量などの面にいまひとつの感があり、音楽プレーヤーに比べれば普及が進んでいない。

 携帯音楽プレーヤーがパソコンとの連携によって伸びを見せているように、パソコンやDVRなど、すでに浸透している家電との連携が可能になれば、携帯動画プレーヤーの普及も一層加速されるものと考えられる。
  • 1