全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>63.東京都小金井市

2005/02/07 18:45

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 東京都小金井市にある大型家電量販店は、ベスト電器「小金井長崎屋店」1店のみ。しかし、この店が小金井市全体のマーケットを独占しているわけではない。ヤマダ電機やコジマ、ギガスケーズデンキなど大手家電量販店が大型店舗を出店している東京都西部屈指の激戦区、府中市が隣にあるため、低価格競争の激化が小金井市にも少なからず影響している。

府中市の激戦が飛び火

 2002年まで、府中市の大型量販店はコジマの「NEW府中店」のみだった。03年に、ヤマダ電機「テックランド府中店」、ギガスケーズデンキ「ケーズデンキ府中本店」が相次ぎ出店し、一気に競争に火がついた。

 秋葉原が本拠地のサトームセンは03年まで小金井市に店舗を構えていた。しかし府中市の価格競争で来店者が減少。ダメージを受け閉店してしまった。

 ベスト電器の吉田久巳・小金井長崎屋店長は、「03年の夏商戦や冬商戦は、府中市の競合店が次々と低価格戦略を打ち出し、これまで当店のリピーターだったお客さんが府中市で商品を購入するという非常に厳しい状況に追い込まれた」と振り返る。そのため、03年度(04年2月期)の売上高は、「前年割れ」(吉田店長)になってしまったという。

 ベスト電器小金井長崎屋店のオープンは01年3月9日。初年度は、4月1日の家電リサイクル法施行を控え、駆け込み需要が発生。オープン当初から冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどを買い求める客が殺到した。オープン初年度の「01年度は予想以上の売り上げだった」と好スタート。逆に02年度は、需要が増大する要素がないことから、当初から前年割れを見込んでいた。そのため、ヤマダ電機やケーズデンキの出店は、「03年度を売上増を軌道に乗せる元年として再始動した直後だった」と復活の出鼻をくじかれた形。

 売上増を図るため、今年度からは競合店との差別化を徹底。オープン当初から実施していた各商戦の体験コーナーを充実した。テレビの展示では、画質の違いを見せ、丁寧な接客でユーザーに合った商品を薦める。さらに、大画面の薄型テレビを中心にスピーカーや照明などを取り付け、家庭でのホームシアターを再現するコーナーを設置。ほかにも、食器洗い洗浄機や圧力鍋の実演なども行った。

 こうした取り組みにより、府中市の競合店に奪われた客が再び戻って来ているという。今年度は、「前年度比8%増の見通し。来年度からは、最低でも前年度比5%増の成長率を維持できる」と自信をみせる。(佐相彰彦)
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