「今のベアキットPC市場に明日はない」と語るのはエーオープンジャパンの葉一徳社長。低価格競争の激化で、製品の機能面で勝負できる局面がなくなりつつあるためだ。市場に一石を投じるため、2005年12月初めに超小型の「miniPC」を投入。加えて、ショップへのOEM(相手先ブランドの生産)事業に着手するなど新しいビジネスの創出に力を注ぐ。 佐相彰彦/文 ミワタダシ/写真

今のベアキット市場では明日はない 「miniPC」で新しいビジネスに着手

 ――ベアキットPC市場ではトップシェアだが、05年通期の販売見通しは。

 「前年比10%増となる4万台弱の販売を見込んでいる。伸び率が高いのは、12月初めに発売した超小型の『miniPC』があるからだ。この製品で自作ユーザーの需要を掘り起こせると確信している。出荷開始から1か月間で2000台の販売台数は見込めるはず。これによって12月のベアキットPC全体の販売台数は5000台に達し、前年を大幅に上回る見通しだ」


 ――来年の販売目標は。

 「miniPCは、需要が急拡大する可能性を秘めている。1年間で3万台規模の販売は可能だろう。そのため、来年は全体の販売台数を6万5000-7万台に増やせると考えている」

 ――ベアキット市場の将来展望は。

 「場合によっては、今の市場では明日がないと考えている。パソコン専門店や家電量販店は、03年頃から『売り物がない』と悩んできた。OSやCPUなど中核となる技術に真新しい製品が登場していないため、ハードメーカー間の差別化が難しくなっている。なかでも、ベアキットPC市場は多くのメーカーが参入し、価格競争が激化している。勝ち組にならなければシェアを確保できない」

 ――市場が縮小すれば、ベアキットPCビジネスからの撤退も視野に入れるということか。

 「そうではない。ベアキットPC市場では40%以上のシェアを占めているため、当社は勝ち組だ。この市場で現状のビジネス規模を維持しながら、新しい分野を模索するということだ」

 ――具体的には、どのようなビジネスを。

 「これまで手がけてこなかったショップブランドモデルへのOEM事業だ。当社が発売しているキューブ型モデルやminiPCをベースに『独自のパソコンを販売したい』という声がショップから出てきている。すでに、3社との契約を済ませた。ほかに、5社程度と契約を進めている。このビジネスは、現段階の売上規模を数倍に膨ませるポテンシャルがある」

 ――キューブ型は他社も販売しているため、ショップがエーオープンだけに発注するとは限らない。OEMビジネスを拡大するうえでの差別化ポイントは。

 「miniPCを持っているという点だ。ショップでは、ユーザーの声を反映して、キューブ型と超小型のオリジナルモデルを求めている。キューブ型モデルだけの販売では、OEM事業を手がける際、ショップからの発注量は少なく、十分な利益を確保することが難しいのではないかとみている。生産量が少なければ、OEMビジネスの成功はあり得ないといえるだろう」

 ――最近では、ノート型のオリジナルモデルを販売するショップもある。ノート型で、ホワイトボックスの販売やOEMビジネスを手がける可能性は。

 「現段階では、ノート型の自作ユーザーはまだまだ少なく、ビジネスとしてうま味がないと考えている。しかし、台湾など複数地域では、ノートパソコンを発売しているケースもあり、確かにノート型で新しいビジネスを手がけることは可能だ。日本では様子を見ながら、どのようなビジネスモデルが最適かを模索していきたい」

DATA FILE
■3強でシェア85%以上を占める

 ベアキットPCの店頭販売は、上位3メーカーが独占している。BCNランキングによれば、11月28-12月4日のメーカー別販売台数シェアでは、エーオープンが40.6%、アサステックが25.0%、シャトルが20.2%を獲得。3社のシェアを合わせると85.8%を占めている。

 シェア争いは、エーオープンがトップを堅持。直近6週間では、35%以上のシェアで推移している。12月初めには、超小型のモデル「miniPC」の販売開始。同製品は、発売週の11月28-12月4日の機種別販売台数が11.7%でトップシェアを獲得、好調な立ち上がりをみせている。

 ベアキットPCを販売するメーカーは、15社以上。参入企業が多く過当競争が続いている。低価格化も続いていることから、利益を確保できないメーカーが淘汰される可能性は高い。