秋葉原は今

<秋葉原は今>10.メイン商材の選定を模索

2006/01/30 16:51

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

 秋葉原電気街の集客が高まっているなか、アロシステムのパーツ専門店「ツートップ秋葉原本店」がメイン商材を絞れずに頭を悩ませている。

 同店は、パーツを豊富に揃えていることを差別化にしているが、「街の変貌で新規来店者は確かに増えている。ところが、メイン顧客のパーツユーザーが増えているわけではない。そのため、どの商材を重視すればよいかという最適策を模索している」(金子潤一店長)と打ち明ける。

 同店の1日平均の購入者数は平日で1200人、週末が1500人と、前年比120%。増加率のほとんどは新規顧客で、「現段階では、BTOパソコンを購入するケースが多い」という。

 なかには、パソコンを初めて自作するために来店したパーツ購入者もいるが、「たいていはメーカー製パソコンよりも安く済ませようと、低価格のパーツを購入したがる」。

 BTOパソコンと低価格パーツを比較すると、「BTOパソコンのほうが粗利の点で“旨味”がある」ために、BTOパソコンの売り場拡大も視野に入れる。

 しかし、BTOパソコンコーナーを大幅に増床することは、「自作パソコンユーザーの裾野が広がらない。パーツの販売が一段と厳しくなる」というジレンマに陥る。また、「新規来店者のなかでリピーターになりえるのは、BTOパソコンの購入者か、低価格パーツの購入者か、が現段階で読めない」のも店づくりの方向性を決めかねる理由のひとつだ。

 05年度(06年3月期)の売上高は購入者の絶対数が増えているため、前年度比5%増の見通しだが、「パーツもパソコンも売っているような中途半端なスタイルが今後も通用するとは限らない」。そのため、06年度前半までには競合店との差別化を図ることを意識し、「店のコンセプトを詰めていく」と意欲を燃やす。

 当面、「街の集客力は一段と高まるだろう」としたうえで、今後もさまざまな客層が新規来店することを踏まえて、「幅広い客層にバランスよく売れる店づくり」を目指す。低価格商品やハイエンドのマニア向け商品を含めて豊富にパーツを揃え、BTOパソコンも販売する今のスタイルを崩さない。

 同店が直面する課題は、街の集客増でビジネスモデルの見直しが迫られていることを物語っている。(佐相彰彦)
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